篠ノ井線廃線敷きを歩く
篠ノ井線の明科駅と西条駅の間には、新線が作られたことにより廃線になった区間があります。
篠ノ井線とは篠ノ井駅から塩尻駅までを結ぶJR東日本の鉄道路線です。
この区間は明治35年から昭和45年まで蒸気機関車が、昭和45年から昭和63年まで電車が走っていました。
しかし潮沢川に沿う地すべり地帯にあり災害も多かったため、廃線が決められました。
今ではウォーキングコースとして活用されています。
モデルコース
JR明科駅 - 潮神明宮 - 三五山トンネル - 東平 - けやきの森自然園 - 漆久保トンネル - 潮沢信号場 - 旧第2白坂トンネル
篠ノ井線廃線敷の見どころ
鉄道遺構
このウォーキングコースの第一の特徴は、至る所に当時の面影が残る鉄道遺構が残されていることです。
鉄道遺構に着目せずに何が廃線敷きウォーキングでしょうか!
往復すれば12km強のロングコースですが、見どころが多いおかげで全く飽きずに歩けました。
1. 三五山トンネル
全長125mのトンネルです。
元々はレンガ造りですが、蒸気機関車から電車に代わる際に、水滴が電線に付着するのをおそれ、上部にモルタルが吹き付けられました。
そのため、側面下側にレンガが見えるものの、さほど目立ちません。
このトンネル内には人感センサーの電灯がついています。
外からみて中が真っ暗でも怯む必要はありません。
正直に言うと、センサーの存在を知らなかった当初、ビビって中に入ることを躊躇いました。
このトンネルには通行可能時間があります。
7:00am – 7:00pm(冬季7:00am – 5:00pm)
2. 漆久保トンネル
全長53mと距離は短いですが、総レンガ造りの風情あるトンネルです。
蒸気機関車による煤や、苔・白華現象で変色したレンガの色合いが歴史を感じさせます。
三五トンネルと違って天井までレンガが敷き詰められていますね。
よく見ると天井に、電線を支える碍子(がいし)という器具が残っています。(※写真中央)
ここのレンガは地元明科で焼かれたものだそうです。
3. 架線柱などウォーキングコースの随所に面影が残っている
コース脇に、架線柱が並んでいました。
昭和48年の電化から昭和63年に廃線になるまで、そう長くはない期間に使われていたのが、この架線柱です。
また地面には小石が敷きめられています。今の線路にも小石がたくさんありますよね。
この小石はバラストと呼ばれ、列車の重さを分散し、クッションの働きをします。
バラストのため、ウォーキングコースとしてはやや歩きにくいです。
架線柱の合間にはキロポストが見えます。
4. スイッチバック
明科-西条駅間は列車にとっての傾斜が厳しく、登るためにスイッチバックという技術が必要でした。
スイッチバックとは、
険しい斜面を登るために、ある方向から概ね反対方向へと鋭角的に進行方向を転換するジグザグに敷かれた鉄道線路のこと
(wikiより)
スイッチバックに使う装置が遊歩道脇にポンと置かれていました。
4. 信号機
その他
覚明、普覚像
漆久保トンネル脇の山道を上がったところに、江戸時代、木曽御嶽山の登山道を開拓した覚明行者(写真手前)、普寛行者(写真奥)の石像があります。
それまでも修験者による御嶽山への登拝は行われていましたが、彼らの尽力により庶民の御嶽山登拝が可能になりました。
篠ノ井線が出来る前からあったようです。
この辺りはかつて善光寺街道として使われており、旅の安全を願って造られたものではないかと言われています。
篠ノ井線の建設にあたり、測量技師に邪魔だという理由で普寛像の鼻が削られてしまったそうです。鼻を削ったところで大差なさそうなものですが。
北アルプス
北アルプスの眺望も、このコースの一つの楽しみです。
特に三五山トンネルの前(明科駅側)は眺望が良いです。
パノラマ案内板が設置されており、ここでのんびりと山座同定をしました。
特徴的な形をした常念岳と有明山を基準に見比べると分かりやすいです。